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飲みやすい日本酒とは?実はシンプルではない話

日本酒を選ぶとき、「飲みやすいものがいい」という言葉をよく聞きます。お店でも、贈り物を選ぶときでも、まず出てくる基準がこれです。

ただ、この”飲みやすい”という感覚、実はとても曖昧で、人によって意味が少しずつ違います。甘口が飲みやすいと感じる人もいれば、すっきりした辛口の方が飲みやすいという人もいる。今回はその「飲みやすさの正体」を少し整理してみます。


「飲みやすい=甘い」ではない

まずよくあるのが、飲みやすい=甘口というイメージです。確かに甘みがあると口当たりはやわらかく感じられますが、甘すぎると重たくなったり、飲み続けるとくどく感じたりすることもあります。

甘さだけでは”飲みやすさ”は決まりません。甘口なのに軽やかなお酒もあれば、辛口なのにするっと飲めるお酒もある。この違いはどこから来るのかというと、複数の要素のバランスによるものです。


飲みやすさをつくる3つの要素

①アルコールのやわらかさ

アルコールの刺激が強いと、どうしても「重い」「きつい」と感じやすくなります。なめらかで角がないと感じるお酒は、それだけで自然と飲みやすくなります。度数が同じでも、飲んだときのアルコール感がまったく違うお酒があるのはこのためです。

②甘みと酸のバランス

甘みだけでは重たくなりやすいですが、そこに酸が加わることで後味がすっきりして、重たさが残りにくくなります。甘口なのに軽やかに飲めるお酒は、たいていこの甘みと酸のバランスが上手く取れているタイプです。以前の記事でも酸の話をしましたが、飲みやすさにも深く関わっています。

③香りの強さ

香りも飲みやすさに大きく影響します。華やかな香りは魅力ですが、強すぎると好みが分かれたり、飲み疲れしやすくなったりすることがあります。穏やかな香りのお酒の方が、食事と合わせながら長く楽しみやすいです。


「軽い」と「薄い」は違う

飲みやすいお酒はよく「軽い」と表現されますが、軽い=味が薄いではありません。味はちゃんとあるけど重くない、旨味はあるけどしつこくない——そのバランスが取れている状態が、軽やかで飲みやすいと感じられます。

「飲みやすいお酒ください」と言って薄いお酒が出てきたとき、なんか違うと感じるのはこのためです。飲みやすさと味の薄さはまったく別の話です。


温度でも飲みやすさは変わる

同じ日本酒でも、温度によって印象はかなり変わります。冷やすとすっきりして軽く感じやすく、常温やぬる燗にするとやわらかい飲み口になります。その日の気温や食事に合わせて温度を変えるだけで、同じ一本がぐっと飲みやすくなることもあります。


よくある質問

Q. 日本酒初心者にとって飲みやすいタイプは? アルコール感が穏やかで、甘みと酸のバランスが良いものが入りやすいです。純米吟醸や吟醸は比較的飲みやすいタイプが多いですが、銘柄によって差があるので、お店や酒屋さんで「飲みやすいもの」と伝えて選んでもらうのが一番確実です。

Q. 飲みやすい日本酒と食事に合う日本酒は同じ? 近いですが、完全に同じではありません。飲みやすさは単体で飲んだときの印象で、食事との相性はまた別の話です。ただ、酸がしっかりしていてアルコール感が穏やかなお酒は、単体でも食中でも飲みやすいことが多いです。

Q. 古澤酒造のお酒は飲みやすい? やわらかい口当たりと、くどくならないバランスの良さを大切につくっています。日本酒が得意でない方から「これなら飲める」と言っていただけることも多く、飲みやすさは意識しているポイントのひとつです。


日本酒の飲みやすさは、甘みだけでなく酸・香り・アルコール感といった要素が整うことで生まれます。ひとつの要素ではなく、全体のバランスです。

「自分にとっての飲みやすい一杯」を探すとき、今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです🍶

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記事を書いた人
古澤恵太郎
杜氏・製品開発
古澤酒造の蔵人として、山形の米と水にこだわった酒づくりを担う。伝統の技と新しい発想で、日々の日本酒造りや製品開発に取り組んでいます。蔵から日本酒の奥深さをお伝えします。