山形の地酒・日本酒

吟醸王国と呼ばれる理由

形県は、全国で唯一すべての酒蔵が吟醸酒を手掛けている地域です。そのため「吟醸王国」と称され、県全体が高品質な吟醸酒の産地として知られています。吟醸酒は本来、特別な製法と手間をかけて仕込む高級酒であり、限られた蔵でしか造られません。しかし山形では、自然条件と酒造技術が揃っているからこそ、全蔵が吟醸酒を造り続けている稀有な土地なのです。

その背景には、寒暖差の大きい気候、清らかな水と良質な酒米、そして杜氏が代々受け継いできた醸造技術が一体となって働いています。特に冬の長い低温環境は吟醸造りに最適で、雑味の少ないクリアで香り高い酒を育てます。

こうした条件のもとで生まれた山形の吟醸酒は、全国新酒鑑評会などで毎年多くの金賞を受賞し、「吟醸といえば山形」と言われる実績を積み重ねています。つまりその呼び名は、品質に裏付けられた確かなブランドなのです。

－ 参考サイト

• 山形県酒造組合

GI山形（地理的表示）

「GI山形」は、2016年に日本酒として全国初の指定を受けました。GI（地理的表示）とは、ワインの「ボルドー」やウイスキーの「スコッチ」と同じく、産地と品質を国際的に保証する仕組みです。つまり「GI山形」と表示された酒は、山形県内で造られ、厳格な品質基準を満たした日本酒であることを国が認めているのです。

この認定を受けるには、香味のバランスや酒質の安定性など細かな基準をクリアする必要があり、山形県酒造組合による審査を経ています。そのため、ラベルに「GI山形」と刻まれた酒は品質を信頼できる証となり、国内外の市場でも評価されています。

さらに「GI山形」の指定は、山形の酒が国際的にも通用するブランド力を持つことを示しています。輸出においても信頼性が高く、海外の愛好家や専門家から注目され、贈答品や記念品としても選ばれるようになっています。

－ 参考サイト

• 国税庁：地理的表示「山形」について
• 山形県酒造組合（GI山形紹介ページ）

月山の雪解け水が醸す山形の酒

山形を代表する名峰・月山は日本百名山のひとつで、日本屈指の豪雪地帯として「隠れ積雪量日本一」とも言われます。春にはスキー場が4月にオープンし、夏でも滑走できるほど雪が豊富で、豊かな雪解け水が一年を通して山形の大地を潤しています。この雪解け水は時間をかけて大地にしみ込み、酒造りに最適な優しい軟水となって湧き出します。やわらかな水質は発酵を穏やかに進め、雑味のない透明感のある味わいを生み出し、まさに月山の恵みこそが山形の地酒を美味しくする源なのです。

雪国山形が育む酒米の力

月山の豊富な雪解け水が大地を潤すからこそ、山形は全国屈指の米どころとして知られています。昼夜の寒暖差が大きい気候は米の旨味を引き出し、ふっくらと甘みのある粒を育てます。山形には「つや姫」「雪若丸」といった食用ブランド米に加え、日本酒のために開発された酒造好適米「雪女神」「出羽燦々」「出羽の里」など多彩な品種があり、恵まれた自然条件と相まって質の高い酒造りを支えています。まさに水と気候と米、この三拍子が揃うことで、山形の地酒は唯一無二の美味しさを誇るのです。

天保七年創業、受け継ぐ酒造りの技

天保七年（1836年）に創業した古澤酒造は、190年近い歴史を誇ります。代々の杜氏と蔵人が培ってきた醸造技術は脈々と受け継がれ、今も「品質第一」の酒造りを支えています。長い歴史の中で磨かれてきたその技は、伝統と革新が融合することで、常に時代にふさわしい酒を生み出しています。

古澤酒造の酒は、地元・寒河江をはじめ山形県内外で長年親しまれてきました。飲み飽きしない澄んだ味わいと香りの高さが特徴で、その確かな品質は国内外のコンクールでも高く評価され、数々の受賞歴として記録されています。

代表銘柄の「澤正宗」は、古澤酒造を象徴するブランドとして長年愛されてきました。やわらかな旨味と透明感を兼ね備え、食中酒としても高い評価を得ています。さらに「紅葉盛」など人気銘柄も揃え、伝統を守りながら新たな挑戦も続けています。