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味を引き締める「酸」の役割とは?

暖かくなってくると、日本酒にも”すっきり感”や”軽やかさ”が求められるようになります。その味わいを支えている大切な要素のひとつが「酸」です。

甘みや旨味に注目が集まりがちですが、実はこの酸があることで、味わい全体がぐっと引き締まります。今回は、日本酒における酸の役割についてお話しします。


日本酒にも酸味はある?

日本酒はワインほど酸味を強く感じるお酒ではありませんが、実際にはしっかりと酸が含まれています。主に含まれているのは乳酸・コハク酸・リンゴ酸などで、これらがバランスよく存在することで、日本酒の味わいに奥行きが生まれます。

ワインを飲む感覚で「酸っぱい」と感じることはほとんどありませんが、そのすっきり感や飲みやすさの裏には、ちゃんと酸が働いています。


酸があると何が変わる?

①味わいを引き締める

酸があることで後味がすっきりして、余韻がだらけなくなります。いわゆる「キレ」と呼ばれる感覚の正体のひとつが、この酸です。飲んだあとにすっと消えていくような感じがあるお酒は、酸のバランスが良いタイプだと思っていただいて大体合っています。

②甘みとのバランスをとる

日本酒にはもともと糖分による甘みがあります。ここに酸が加わることで、甘すぎず重たくならない、バランスの良い味になります。甘口なのに不思議と軽やかに飲めるお酒がありますが、あれはたいていこの甘みと酸のバランスが上手く取れているタイプです。

③食事との相性を良くする

酸は料理との相性にも大きく関わっています。脂をさっぱりさせたり、口の中の味をリセットしたりする働きがあるので、食中酒としての飲みやすさにつながります。焼き鳥や揚げ物など脂のある料理と日本酒が合うのは、この酸の働きが大きいです。


酸が多い=酸っぱい、ではない

ここはよく誤解されるポイントです。日本酒の場合、酸は旨味・甘み・アルコールと組み合わさることで「味の一部」として溶け込みます。そのため「酸味が強い」と感じるより「すっきりしている」「キレがある」と感じることの方がずっと多いです。

酸度という数値が高いお酒を見て身構える必要はなく、むしろ酸がしっかりしているお酒ほど食事との相性が良かったり、飲み飽きしにくかったりします。


季節と酸の関係

気温が上がってくると、人は自然と軽さやさっぱり感を求めるようになります。そんな季節に酸のある日本酒はとても心地よく感じられます。冷やして飲むとさらにキレが際立って、より爽やかな印象になるので、前回お話しした温度の話とも合わせて意識してみてください。


よくある質問

Q. 日本酒の「酸度」とは何ですか? 日本酒に含まれる酸の量を示す数値です。数値が高いほど酸が多く、一般的にキレやすっきり感が出やすくなります。ただし甘みや旨味とのバランスによって印象は変わるので、酸度だけで味を判断することはできません。

Q. 酸が多い日本酒と少ない日本酒、どう違いますか? 酸が多いとキレがあってすっきりした飲み口になりやすく、食事との相性が良いです。酸が少ないとまろやかで甘みが前に出やすく、やわらかい印象になります。どちらが良いかは好みや飲むシーンによって変わります。

Q. 爽やかな日本酒を選ぶとき、酸以外に見るポイントは? 前回の記事でもお伝えしましたが、香り・アルコール感・ガス感もあわせて確認するといいです。酸だけでなく、これらのバランスが揃ってはじめて「爽やか」な味わいが生まれます。


日本酒の酸は、強く主張する存在ではありませんが、味を整えてバランスをとり、飲みやすさをつくる”見えない主役”のような存在です。これからの季節、日本酒を選ぶときにぜひ酸にも少しだけ意識を向けてみてください。味わいの感じ方が、きっと変わってくるはずです🍶

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記事を書いた人
古澤恵太郎
杜氏・製品開発
古澤酒造の蔵人として、山形の米と水にこだわった酒づくりを担う。伝統の技と新しい発想で、日々の日本酒造りや製品開発に取り組んでいます。蔵から日本酒の奥深さをお伝えします。